「ザ・モノローグ」by ジェイコブ・バンクス 

Jacob banks,ジェイコブ・バンクス

 

初めて聞いた瞬間に耳に訴えかける味わい深い歌声。温かみのあるハスキーな歌声は、同時に力強い。

英国 ブリングハム出身のアーティスト、ジェーコブ・バンクス(Jacob Banks)のデビューアルバム、『The Monologue』を初めて聞いたのがいつ頃だったかは覚えていないが、時に日本を恋しく感じる事のあるニューヨークの生活の中で、心に火が灯るような気持ちになったのをはっきりと覚えている。 切実に、正直に、想いを語る歌詞は、とても美しい。

どのトラックも連続再生したいと思えるような安定した聞き応えのあるトラックばかりが揃った彼のデビューアルバム『The Monologue』は、BBCラジオなどでもプレイされ注目を浴びたトラック「Worthy」から始まる。曲の構成や歌声からも猛烈に伝わってくる切実な感情と心の葛藤が印象的だ。

明るいメッセージが込められた2曲目の「Rainy Days」に続く「Dear Simone」のどこか懐かしさを感じる安心感のある美しいメロディーと手紙のような歌詞には、感動的で映画のワンシーンでも見ているような気持ちにされられるようなドラマティックさがある。「Kids On The Corner」で再び軽快なリズムに戻るが、次曲「Homecoming」では、タイトルから予想される様に深い郷愁を誘い、特に異国の地で聴くと”I’ve gotta live before I die, but I’ll be coming back home soon.”という歌詞が一層心に染みる。

センチメンタルなムードは「Hostage」でも引き継がれ、続くラテン的なリズムにアフリカ音楽やレゲエの影響も見られる「YOLO」で雰囲気は一転する。「YOLO」は2011年にドレイク(Drake)の「The Motto」より人気になったことも記憶に新しい”You Only Live Once.”の略語であるが、ドレイクが意味するところの”YOLO”とは違い、「人生は一度だけ、当たり前だと思わないで大切に。」という教訓的なメッセージが彼の音楽らしい。最後のトラック「Something Beautiful」ではスローテンポに戻り、彼の歌声の豊かな表現の幅が聴くものの感情を揺さぶる。

ソウルフルな彼の歌声は、アンソニー・ハミルトン (Anthony Hamilton)やジョン・レジェンド(John Legend)、アーバン・ミスティック(Urban Mystic)辺りを彷彿とさせるところがあるが、何より彼の魅力は、感情の籠った、表現豊かなボーカルではないかと思う。

丁寧に歌い上げられた一つ一つの言葉が、叫び声のように心に響く。必ずとも歌詞で歌われているような状況に自分が置かれたことがなくとも、感情移入してしまいそうな、なんとも説得力のある、パワフルな歌声だ。

 

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