All posts by Yuko Shimozato

「ザ・モノローグ」by ジェイコブ・バンクス 

Jacob banks,ジェイコブ・バンクス

 

初めて聞いた瞬間に耳に訴えかける味わい深い歌声。温かみのあるハスキーな歌声は、同時に力強い。

英国 ブリングハム出身のアーティスト、ジェーコブ・バンクス(Jacob Banks)のデビューアルバム、『The Monologue』を初めて聞いたのがいつ頃だったかは覚えていないが、時に日本を恋しく感じる事のあるニューヨークの生活の中で、心に火が灯るような気持ちになったのをはっきりと覚えている。 切実に、正直に、想いを語る歌詞は、とても美しい。 Continue reading 「ザ・モノローグ」by ジェイコブ・バンクス 

ディアンジェロ @フォレストヒルズスタジアム

早いもので、今年も残すところ5日。今年見たライブの中でも、最も印象に残ったライブをあげるとしてまず真っ先に思い浮かぶのが、D’Angelo/ディアンジェロ の”The Secound Coming Tour”であろう。

D'angelo Foresthills
D’angelo Foresthills

6月21日、父の日の夕暮れ、地下鉄メトロのフォレストヒルズ71st駅から流れる群衆が一堂に向かって行く先は、フォレストヒルズ・スタジアム。

ジミー・テンドリックス、ローリングストーンズ、フランクシナトラ、ボブ・ディラン、そしてビートルズという錚々たるアーディストが過去にライブを行い、歴史的なライブ会場の一つであるといえるこのスタジアムの周辺は、ある種のお祭りのような、期待に満ちた空気が漂っていた。

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映画「タイム・イズ・イルマティック」

ヒップホップ史を語る上で欠かせない永遠のクラシックの一つ、ナズの「イルマティック」がリリースされてから20年。この革新的なナズのファーストアルバムのドキュメンタリー、「タイム・イズ・イルマティック」が話題になったのは記憶に新しい。

ニューヨークとロサンゼルスで先行封切りされてから一週間後の10月7日、監督のOne9、プロデューサーのエリック・パーカー、そしてジャズミュージシャンでありナズの父親であるオル・ドラを招いてのスクリーニング、パネルディスカッションがハーレムのショーンバーグ・センターにて行われた。 Continue reading 映画「タイム・イズ・イルマティック」

「ヴェルヴェット・ロープ」by ジャネット・ジャクソン 

 

THE_VELVET_ROPE

 

時は1997年、10月7日。今から17年前、恐らく20年、30年経ってもその存在感が色褪せないであろう、一枚のアルバムがリリースされた。

ジャネット・ジャクソンの6作目のアルバム「ヴェルヴェット・ロープ」だ。

ローリングストーン誌の500 Greatest Albums of All TIme にも選ばれ、ジャネットの慎重な音楽キャリアの中で間違いなくマイルストーンであるだろうこの名盤について、いまさらレビューを書く必要はないかもしれない。しかしあえて第一弾のディスクレビューには、我らがVAW、Velvet Air Wave の名前の由来の一つともなっているこの作品を取り上げさせて頂くことにする。 Continue reading 「ヴェルヴェット・ロープ」by ジャネット・ジャクソン 

ジョー @ マーカス・ガーベイ・パーク in ハーレム

ニューヨークの夏は、とても暑い。身体が溶けるのではないかという猛暑を何日か耐え過ごさなければならない。それでも多くの音楽ファンがそんなニューヨークの夏を楽しみにしている。その理由の一つは、あちこちで頻繁に行われる無料ライブ。しかも出演アーティストの顔ぶれは、毎年日本では考えられないほど豪華だ。

8月12日、ハーレムのマーカス・ガーベイ公園でのサマーステージにて、R&Bシンガーのジョーのパフォーマンスが行われた。

ジョーのコンサートはほぼ二年前にB.B.キング バー&グリルで観たきりだ。もちろん素晴らしいコンサートで、ジョーの独特の歌声、揺るがない歌唱力、長年愛されている錆びることのない名曲の数々に魅了された。ベテラン歌手であるジョーが、今回も安定感のある素晴らしいパフォーマンスをする事は予め分かっていた。 Continue reading ジョー @ マーカス・ガーベイ・パーク in ハーレム

ザ・タニング・オブ・アメリカ

 

1970年代の初頭にニューヨークのサウス・ブロンクス地区で生まれたヒップホップと呼ばれる文化は、今や人種や国を超え、文化的のみならず商業的にも大きな影響力をもつようになった。
長年大手のレコード会社で重役を勤め、U2, イヴ, リンプ・ビズキット, エミネム, マライヤ・キャリー 、ウィル・スミス, ナズ, メアリーJ.ブライジなど数多くのアーティストのキャリアに関わっただけでなくマーケティング&広告のプロでもあるスティーブ・スタウト(Steve Stoute)は、著書『Tanning of America』にて黒人文化が他の人種に浸透してゆく様を「Tanning」と表現し、「オハイオでのJay-Zのコンサートでアジア人、白人、黒人の様々な場所から集まった若者がリリックを共有し、同じダンスをしている様子を見て、社会的にも経済的にも色々な背景を持った若者を集結されるものはほかにあまりない。ヒップホップには、もの何か凄く強い影響力をもった何かがあると思った。この考えを一度本に書きたかった。」と話す。

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モータウン : ザ・トゥルース・イズ・ア・ヒット

モータウン。これほど音楽史に大きな足跡を残し、社会にも影響を与えたレコード会社は他にあるだろうか。

1959年、創立者ベリー・ゴーディ・ジュニアが家族からの800ドルの借金を元手にデトロイトでスタジオ兼事務所用の建物を手に入れたとき、彼の持っていたものは、音楽への情熱しかなかったかもしれない。しかし、正にそれこそが彼の夢を現実にするために一番必要な要素だったのではないかと思わずにはいられない。 Continue reading モータウン : ザ・トゥルース・イズ・ア・ヒット